輪島塗の生産には約124 + 1の工程があります。
その全てをお伝えすることはできませんが、一部をご紹介します。
これだけでも「一生物もの」と呼ばれる理由を感じていただけるでしょう。
工程の概要
輪島塗の製造は古くから分業化が進んでおり、「木地師」「塗師」「沈金師・蒔絵師」など専門の職人によって、伝統の技法が受け継がれてきました。
01
木地作り(5年以上+1〜3か月)
良質な木材を選び、何年も乾燥させた後、器の形に削り出します。これが輪島塗の土台となります。
02
下地作り(3〜6か月)
生漆を塗り、布を貼って器を補強。さらに、地の粉や漆を塗り重ね、強度と滑らかな表面を作ります。
03
中塗りと中研ぎ(1〜2か月)
中塗り漆を塗り、研ぎを繰り返して、さらに表面を整えます。この工程で全体に形が整っているか、検品をします。
04
拭き上げと上塗り(1〜2か月)
表面を丁寧に仕上げ、最上級の漆を塗って乾燥させます。この工程で輪島塗特有の深い光沢が完成します。
05
装飾(2〜4週間)
蒔絵(まきえ)や沈金(ちんきん)で金粉や金箔を使った華やかなデザインを施します。一つ一つ職人の手作業です。
06
最終仕上げ(1か月)
特別な乾燥室で漆を完全に硬化させ、表面を磨き上げて艶を引き出します。
07
検品と完成(1〜2週間)
厳しい検品を経て、輪島塗の美しさと品質を保証。大切に梱包され、手元に届きます。
+1
最後の仕上げを完成させるのは、あなたです。
輪島塗は、使うほどに手触りが滑らかになり、艶が深まる特別な器。五感で味わう豊かなひとときを日々の暮らしに添え、その美しさを子どもや孫の世代へと受け継いでください。
輪島塗の定義
「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」(伝産法)で定められた要件を全て満たしたものを「輪島塗」としています。
その要件は以下の通りです。
【技法】
1. 下地塗りは、次の技術または技法によること。
(1) 木地に生漆を塗付した後「着せもの漆」を塗付した麻または寒冷紗を用いて「布着せ」をすること。
(2) 生漆に米のり及び「輪島地の粉」を混ぜ合わせたものを塗付しては研ぎをすることを繰り返すこと。
2.上塗りは、精製漆を用いて「花塗」または「ろいろ塗」をすること。
3.加飾をする場合は、沈金または蒔絵によること。
4.木地造りは、次のいずれかによること。
(1) 挽き物にあっては、ろくろ台及びろくろかんなを用いて形成すること。
(2) 板物または曲げ物にあっては、「こくそ漆」を用いて成形すること。
【素材】
1.漆は天然漆とすること。
2.木地は、ヒバ ケヤキ カツラ もしくはホオノキ、またはこれらと同等の材質を有する用材とすること。
【製造地域】
石川県輪島市